という本がありますが、
ついこの間、電車で30代のリーマンが読んでいて、「まだ命脈を保っていたのか」と少々驚きました。
あの本は、私も読んだことがあり、一片の真実は含んでいるとも思うものの、そこまで優れた洞察を含むとも思えない。
言うなれば、事例研究であって、それ以上のものではない。
で、問題なのは、それでも材料が戦争というある意味ではきわめてキャッチーなものであるから、案外記憶にものこりやすく、それ以上に日本軍部を軽んじたい心性とも合致して、そこらへんの阿呆まで得意気にインパール作戦がどうのと演説をぶつようになることでしょう。
インパール作戦が悲惨だったのは事実ですが、悲惨なのはインパール作戦というよりも、未だにそのインパール作戦を繰り返している日本人であり日本です。
そして、その事実に、それこそ「失敗の本質」を読んで刮目したおじんたちが、感心しながらまたインパール作戦に突入していく姿は悲惨としかいいようがありません。
もう、誰かから「インパール」の言葉を聞こうものなら、「ああ、こいつもそのインパール作戦によって戮される日本人のひとりなんだな」と思うだけです。
もういい加減によしませんか。
みなさんがご執心のインパール作戦ですが、僕はちょっと遠慮したいのですがね。