小幡敏の日記

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(3ページ目)「日本に住む私たちにとっても大きなリスク」義勇兵に志願した元自衛官を、陸上自衛隊幹部OBが“称賛しない”理由とは | 文春オンライン

 

何か書かせるとなれば元将官くらいでないと格好がつかないというのはわかるが、元将官にいくら話させたところで自衛隊の実情など話すわけがないし、なんならそういうものに「うまく付き合える」人間が将官になるのだから、我々日本人の欺瞞病をひどくすることはあっても、これを克服して目をひらかせることなど期待出来ようはずがないではないか。人を守りたい、使命感、敬意を表する、そんな言葉が並ぶが、こんなものはいくさびとの使う言葉じゃない。僕は二等陸尉で辞めているから将官など雲上の人だが、もっと締まりあることをいってもらわねばどうにもすわりが悪い。

 

この元総監については何もしらないが、彼が言うことから判断すれば、有り得るのは、昔と今で自衛隊が異なり、かつ彼がそのことを知らないか、彼が嘘つきかの二つに一つである(或いは彼が無能かであるが、閣下ともあろう御方がまさかそんなことはあるまい)。

 

自衛隊に入る者が鉄砲を撃つことにためらいがないだろうなんてことは、僕には口が裂けても言えませんね。手榴弾をもって腰を抜かすようなやつがいるのに、なぜそんなことを言えるか。大体が戦うことなど平生まるで考えない自衛官に、いったいどうしてそのような期待を持てるのだ。それは自衛官に対する理解がない上に人間への理解も欠いているのではないか。

 

いったん彼が嘘つきでないと仮定しても、やはり彼の認識には問題がある。

一例をあげるなら、彼の持ち出した精神教育だが、自衛隊の精神教育など、疲れた身体を屋内で癒やすための休憩時間に過ぎないし、僕が受けていた精神教育で唯一終わってから隊員が真面目に談義していたのはフィナンシャルプランが演題だったときだ。そんなものが精神教育と呼べるものか。

 

僕が新隊員教育で区隊長をしたときは、代々引き継がれた害にしかならん教育資料を全て無視して一から自分で作ってやった。おまえたちは戦うためにいるが、国民はおまえらのことなんか本当のところじゃなんとも思ってねえ、おまえらは憲法違反だ、おまえらはこの国のみなしごで捨て駒だ、それでもかまわんといって戦う覚悟があるのかと語りかけたが、数名が熱心に聞いているのみで、ほかの奴は休憩時間じゃないのかとげんなりしていた。

そして熱心に聞いていた連中はじきに辞めてしまった。残ったものが自衛官だ。その自衛官が国防意識あふれ、ためらいなく鉄砲が撃てるというなら大変結構、是非ともそうしてもらいたいが、あまり無責任なことを言うものではない。

 

今日聞いた話だが、北海道のピンピンコロリ1尉も「俺たちがいくら頑張ったってなんにも変えられねえ、上流でなんとかしてくれなきゃどうにもならねえ、誰も戦う気なんてねえんだから!」と悔しがっていたそうだ。僕は彼の部隊の実情を知らんが、なんの違和感もない。戦う気があるやつなどほとんど見たことがないのだから。

 

それでもって元将官の方にもどれば、彼は幹部候補生学校に入校したころ、こんな事を教官に言われて感銘を受けたという。

 

愛国心に答えはない。1億1000万の国民がいたら1億1000万の愛国心がある。君たちの思う愛国心と違う国民がいても、すべての日本国民を守るのが君たちの任務なのだ』と。型にはまった愛国心が示されるのかと思っていたので驚きでしたが、すべての国民を守ることが自分たちの使命だと気付かされた瞬間でした。』

 

このことからなにが言えるか。

ひとつ、幹部候補生学校の教育が昔からおとぼけ教育であること。

ふたつ、将官ともあろう人間がこの程度の戦後的言辞に感心していたマヌケか、或いは感心したふりをする悪党であること。

みっつ、自衛隊に期待しうるのは所詮、日本人に期待しうるものの域を出ないということ。

よっつ、こんな戯れ言がまかり通る限り、自衛隊はたぶん、おそらく、ぜったいに、日本を守ることはないということ。

 

四つ目まではいえんやろうという者もあるかもしれんが、いやはや、これが言えてしまうので困ったものです。想像してごらんなさい、我々はタマやポチは食えと言われても食えませんが、動物全般を愛する者は平気でビフテキ食べますよ。

全ての国民なんてものは愛せません、愛せないもののためになんて戦えるわけがない。

子どもを守ろうなんてものより、わが子を守ろうという気持ちが強いのは当たり前じゃありませんか。

 

いえいえ、そんなことの前に愛国心が一億もあるちゅうのは初耳ですわ。そんなら親心も恋心も一億あって、魚心や出来心なんてのも一億あるわけですな。よきかなよきかな、そんなら万引き犯一人捕まえられん世の中ですわ。ばかも休み休み言いたまえ。

 

僕はあげ足とりをしてますがね、愛国心に答えはないなんて安い文句を言うからお付き合いしてるんだ。安いなんてもんじゃない、実に実に罪深い卑怯で臆病な文句じゃありませんか。あの阿呆連中前にして阿呆がいうべきことは、ただ国のために戦えって、それだけだよ。知恵を使おうなんて百年早い。

馬鹿が頭使うから尻尾をだす。もっと気取らず基本に忠実になりなさいな、足りないのは何はなくとも『型にはまった』教育だよ、国防に関する自由な思考なんてものは、日本人にとっちゃサーカスだって分かってもらいたいもんです。

 

言っておくが、『当時は自衛隊に対する風当たりもつよく、批判的な国民もいた、そういうことを知らないで好き勝手言うものではない』などというとるにも足らない言い訳は御免ですよ。そんならそれで、なぜ今なお自衛隊は変わろうとしない、国民に働きかけようとしない。

 

自衛隊の中で現状に異を唱えるものが対するのは『例外なく』次の二つのだ。

 

『君が偉くなって変えればいいだろう』

『君だって年をとれば同じ事を言うようになる』

 

黙れ黙れ、貴様らが語るのは日本人の性情であって人の世の事情ではない。そんなものを語るのになぜ物知り顔をするのだ。

 

馬の子がロバになるものか、鷹の卵から鳶が孵るものか。

僕の顔がロバに似てこようものなら、そんな奴は俺の手で殺してやる。