小幡敏の日記

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本当にウクライナの味方かね

私は日本人の政治的意見を決して信用しないたちですから、世間のひとがウクライナ贔屓であることすら、本当にそうかと疑います。

 

いや、ウクライナ贔屓であることには違いない。しかしながら、それは真にウクライナの立場にたって、ロシアの非道を憎み、その結果出てきた態度とはとても思えないのです。

 

面倒だから結論を言ってしまいますが、つまるところ日本は自らの立場をウクライナに重ねて、その勝利に自らの生存蓋然性をあかし立ててもらおうとしているのではないか。

 

いや、立場を重ねることくらいなら罪は軽い。台湾がそうしたって、別段構わんのです。

 

しかしながら、日本人がやるとどうもおかしい。それは、日本人の顔に『侵略者が悪であり、悪は負ける、正義は勝たねばならない』という単なる道徳的判断、あのいつもの『弱者は善』という妄想が透けて見えるからです。

 

それは斜に構えているからでしょうか。そうかもしれませんが、ではなぜ日本人はイラクに対して同じ同情を向けなかったのか。それはフセインが独裁者だったからでしょうか。大量破壊兵器があるとされていたからでしょうか。

 

私にはどうもそれだけではない気がしてなりません。なぜって、日本人はいつも戦争を是々非々でなどみてはいないはずではありませんか。どんな戦争も悪だ、やっていい戦争などない、それがモットーだったはずです。ならば戦争である以上、等しく憎むことが筋でしょう。イラクもアフガンも、戦争をふっかけたのはアメリカだ。ならばアメリカを今のロシアのように憎まねば、そしてフセインタリバンウクライナ人のように庇わねば、日本人の沽券にかかわるのではないか。

 

そんな操さえ守らずに、自らの境遇を重ねられる時だけ思いついたように情をかける。そういうでたらめで軽薄な態度には毎度のことながら閉口します。

 

私としてはロシアみたいなふざけた国が地球に少しはないとかなわんと思いつつ、ロスケは嫌いだからウクライナ頑張れと思いますね。ウクライナ人に知り合いもありませんし、何も知らないのだから、それくらいのものです。子供が死んでるだなんだと真っ赤な顔して言う人には何を言っても無駄ですが、子供なんて日本でも沢山殺されているし、アメリカがいったいどれだけ子供の命を奪ってきたか、どれだけ膨大な人間の生活を破壊してきたか、そして日本はその提灯もちをしてきたということを思えば、『子供の命を守れ』なんて厚顔無智な科白はとても口に出せません。