私は多摩川中下流の川沿いに住んでいるが、先ほど娘を河川敷に連れて行って遊ばせていると、白人(ドイツ訛りの英語を話していた)の家族一行が颯爽と現れたと思うと、おもむろに服を脱いで皆で川に飛び込んで遊び始めた。
いくら綺麗になったとはいえ、下流に近い地域であるから、お世辞にも水は清潔とはいえない。川縁から半尺もいけば川底は全く見えないのである。
更に今は夏だからアオコのようなものも溜まり、とてもじゃないが潜って遊ぼうなどとは到底かんがえられない。
だがあいつらは6歳くらいの子供から初老の父親まで皆で泳いだり潜ったりして大騒ぎだ。
となりでは馬鹿みたいに重装備な日本人御一行がサップ(漂流する案山子ごっこ)に先立ち入念な準備体操をしていた。
これにはなんだか白人たちがよほど健康的であるようにさえ思えた。
日本人は自然を愛し、親しむというが、その近づき方は垢抜けず、どこか他人行儀だ。
勿論それは都市住民に顕著なことであろうが、その点ではあの白人たちも変わらないだろうし、外国に旅するとやはりやつらの自然への接近は図々しいまでにこなれている。
なんでもかんでも日本人憎しでケチをつけるのもなんだが、日本人は何事にかけて、ラフに振る舞うことが下手くそである。
もっとラフにやればいい。普通、暴力がそういうことは教えてくれるものだが、これをあんまりいじめるから平衡感覚を失うのである。
ゴロリ