小幡敏の日記

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いっぺいちゃんと自衛隊

僕は野球が好きで、野球のニュースは見るもんだからいやでもいっぺいちゃんのやらかしが目に入ります。

 

これは後出しジャンケンのようでみっともないですが、かねてからこいつはいつかやらかすぞと言っていました。家人しか証人はありませんが、これは本当です。

 

そら、ギャンブルで借金拵えるとか、そんなことまで予想していたわけではありませんが、僕がかねて心配していたのは、通訳という所詮は渉外係に過ぎない裏方稼業のいっぺいちゃんが、大谷翔平の隣に侍り、能力外見その他あらゆる点において劣位にあり続ける(英語力なんていうのは飯を食うのが早いとか、人より尻が小さいとか、それくらいの自信にしかなるまい)のは、まともな金玉だったら耐えられないだろうなってことです。

 

別に通訳業を人間ポケトークといって馬鹿にするわけではないですが(外交官の気位がやたらと高いのも、ちょっと気の利いたポケトークである自覚がおありなのかも)、通訳業に限らず、裏方業務は裏方になければならない、これは道理です。これを弁えずに、さも大谷翔平の相棒であるかのように表舞台に立たせてしまえば、そら普通の神経なら耐えられませんよ、必要以上に惨めな心地になるでしょう。

 

日本人は自分の平凡な境遇を慰めるためか、こういう裏方をやたらと持ち上げる傾向があります。いっぺいちゃんなんて、うちのおふくろもあの人はすごいらしい、ただの通訳じゃないんだって、と言っていたし、世間じゃ報酬などまで詮索して持ち上げていました。

 

それがいまじゃ、大谷に影響がなければいいが、通訳なんて他にいくらでもいるから大谷は切り替えてほしい、と手のひら返しも鮮やかです。

 

だからいわんこっちゃない。はなからいっぺいちゃんなんて大谷の付属物か、それ以下の存在でしかなかったんだ。誰も彼に大谷のような特別で代替不能な価値なんて見出していなかったんだ。

それを持ち上げれば、本人が一番そのギャップに苦しむことは明らかではないか。いっぺいちゃんがそれを苦にして賭博に溺れたかは知らんですが、僕にはそういう気持ちもわからんではない。人間の価値は、少なくとも世間にとっての価値には、いやでも高低があるものです。それだけは認めてやらねば、哀れないっぺいちゃんはまた次々に出る。いっぺいちゃんが万一命を絶つようなことがあれば、それは彼をおもちゃにしたマスコミと、そんな馬鹿げた評価を受け入れた大衆の罪です。

 

 

さて、こんな後出しジャンケンまがいのことを言ったのは、何もいっぺいちゃんに特別の関心があるわけではない。いっぺいちゃんはなかなか面白いから明星食品かどこかがCMに使うか(一度手出したら止まらないぜーとでも言わせておけ)、大王製紙の井川何某と組んで何かやってくれればいい。大谷の契約金よろしく、1000億でも借金こさえりゃ、いっぺいちゃんも負の大谷翔平として立派にスーパースターと肩を並べられるわけです。

 

それはそうと、僕が言いたいのは、今回の構図が自衛隊にも当てはまるということです。

 

惨めな境遇、地位にありながら、自衛隊さんありがとう、自衛官カッコいい、自衛隊スゴイ、と言われれば、日頃劣等感に苛まれている自衛隊自衛官は、容易にいっぺい化すること請け合いです。

 

できねえことも出来るといったり、アメちゃんから馬鹿高い武器を買ったり、無理して共同訓練を詰め込んだりするのは、まぁいっぺいが賭博に突っ込んだ気分と同じだと思えばわかりやすい。

 

自衛隊大谷翔平側になれれば何よりだが、そうでなくともいっぺい化するのはやはりまずい。せめて藤浪晋太郎くらいにはなってもらわなくちゃ困る(僕は藤浪、だいぶ好きです)。

 

それはともかく、日本人は性懲りも無くまた第二のいっぺいちゃんを作り出すでしょうが、自衛隊はなんとか救い出さねばなりません。

 

そのためには、まずは通訳をある種の人間ポケトークであると認識するのと同様、自衛隊は不具の組織であると認めることです。

 

あいや、職業に貴賎なし、それはそうでございましょう。そういうことでも大いに結構。僕は医者や弁護士よりも、大工左官や呑百姓の方に頭を下げます。

 

ただ一点、自衛隊は賎業だと、そういう扱いをするのはいつだって国民様の方ではなかったですかね。そのことだけは、忘れるわけにはいかないのです。僕は決して忘れやしません。