小幡敏の日記

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マス釣場にもコロナ蔓延

今日は緊急事態宣言下ということで、子どもを連れてマス釣場へ行きました。

 

十匹ほど虹鱒を釣ったところで引き揚げようとしていると、10歳くらいの小僧がぼさっと釣り糸を垂らしている。

 

マス釣場はだいたい十メートルごとくらいに区画が分かれていて、その区画毎に適当に養殖した虹鱒が放してある。

 

我々はそれを釣るわけだが、その区画毎にマスの方でも状態が違い、食いが全くないところもあれば、入れ食いに近いところもある。

 

私は3区画で釣ったが、その小僧の区画は全く見向きもされないところで、いくら餌を垂らしたところで一匹も釣れない。

 

あんまり退屈そうだから、帰り際にその区画じゃつれん、こっちは程よく食いつくから変えてみな、と言うと、ぎょっとしたような顔をしたが、素直に移動していった。

 

少し気になったから帰り支度をしながら見ていると、数分と経たずに大きなマスを釣り、喜んでいる。

 

ほらそっちがいいだろ、というと、はい、ありがとうございます!と元気に答えてどこかへ走っていった。

 

なかなか元気でいい子だと思ったが、やはり話しかけたときの驚き方がひっかかる。

 

あの子はおそらく、知らない大人に話し掛けられたらことなどほとんどないのだろう。

 

昔は知らないオヤジからぶん殴られることもあったというのに、話し掛けることすら珍しく時代になってしまったか。話せば子どもの方はすんなり適応するのだから、うるさい大人はほうっておいてどんどん話し掛けるのがよい。

 

で、針を呑んだ魚がいたもんだから最後に娘と釣り場の係員をやっているおっさんのところへ立ち寄った。糸を張らせておいてくれというからその通りにすると、「お嬢ちゃんちょっと離れてくれよ」という。うちの娘はちょうど大人の腰あたりの背丈で、魚の針を外そうとしているところだったものだから、「そら、針が飛び出してくるから離れていなさい」と私が言うと、そのおっさんは向き直って、「違う、コロナがいたら困るだろ!」とわざわざ不機嫌そうに言うではないか。

 

なんだこのやろう。あの土気色のしわだらけのじじいまでやられてしまったのか。

 

子供を前にそんなことを言う必要がどこにある。

 

いい年をして、まったく情けない。

 

アホなコロナじじいのせいで後味が悪くなってしまったが、塩焼きにした虹鱒はやはり旨い。虹鱒に免じて許してやることにしよう。