小幡敏の日記

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医療批判について

私も寄稿した表現者クライテリオン9月号で医療業界というか、医者が糞味噌に叩かれている。

 

私は親族がだいたいこの業界で働いているから、自分もここから出た金で育ったことを隠しはしない。

 

私のことを知っている人ならきっと理解してもらえるだろうが、私は医者が嫌いだし、そもそも医療も嫌いで、彼らや医療自体をむやみに庇うつもりなどない。

 

しかしながら、雑誌内での医者の扱われ方はあんまりだから、ちょっと賛同しかねる。

 

細部をみて全体と見做すのはやはりよくない。私とて医療業界に身を置いているわけではないからあまり突っ込んだことはいえないが、少なくとも医者は記事内でかかれているほどに悪い人種じゃない。

 

そら現在の医療制度に問題があることは事実だし、医者の中にも適当な理屈をつけて金儲けに熱心なやつもいる。だが、とりわけ医者の中堅以上に限れば、他業界に比べても彼らの倫理観が劣るなどということはない。勤務医など、かわいそうなくらいの状態で働いているものも沢山いる。

 

まぁ何がいいたいかというと、雑誌がたとえ政治運動であれ、あのように物事を単純化しすぎるといいも悪いもなくなってしまうからあまり愉快じゃない。

 

少なくとも、この手の雑誌が相手にすべきはそれこそ良心的な医者のような、地方の名士層であって、それは営業的な意義に限らず、この国をたて直そうと思うのであれば、彼らの良心と献身とに頼るしかない。

 

くどくどいう積もりはないが、例えば自衛隊をとってみても、そらクズはたくさんいるし、組織としても破綻している。

 

だが、そうだからといって自衛官は税金泥棒のクズだとはならんだろう。

いうなれば医者もおなじで、医者だって色々疑問に思いながら、日本的風土の中で苦しんでいる。

 

だから問題にすべきはやはり、この腐敗した日本の環境であって、そこで右往左往したり、茫然とさまよっている哀れな日本人の方ではない。(勿論、日本人一般に遍く存在する問題という意味なら別だが)

 

私は日本人が嫌いで、時には馬鹿やろう、死んじまえ、と憎まれ口をたたくこともあるが、それだっていわば可愛いが故の攻撃なんだ。

 

本当に憎んじゃいけない。心から蔑んじゃいけない。憎むべき人間なんていない。心底憎むような見上げた悪人はこの国にはほとんどいない。

 

私には、あのように医者を攻撃して得るものは少ないばかりか、失うものの方が大きいように思う。

 

最後に守るべきは品位だ。それを実践運動のために差し出すのであれば、私はそれには乗らない。

 

それで冷や飯食ったって構わん。こっちは冷たいご飯にゃ慣れてんだからね。自衛官やっといて良かったですわ。

 

ああ、一応付け加えておきますが、私だって医者は嫌いなんですよ。特に若い医者、ありゃいかんです。でもそれは、医者が悪いんじゃない。今の日本じゃ、ああなるより仕方ない。小金もたせりゃそのいやらしさにすこしばかり勢いがつくに過ぎません。

 

頼むから私がおとなしく医者を継げるような国にしてくださいな。そしたらこの国はとってもいい国になったってことです。