小幡敏の日記

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医者の政界進出を危惧する

一昨日神奈川方面に出かけたら、医者(ないし医学系研究者)が横浜市長選やら地方議会やらに首を突っ込んでいる様を見せつけられた。

 

恐れていたことがおきた。オルテガを持ち出すまでもなく、医者は専門人として現代日本においてもっとも力を持ち得る存在である。

なぜなら、日本人は生命に魂を売り渡した民族であり、生命さえ守ってくれるのならば、どんなものだって差し出す連中だからだ。

 

私の家は曾祖父の時から医者をやっており、親族にも医者が頗る多いから医者のことは人よりはよく知っている。

 

医者は総じて善人が占めて来た。というより、日本人は生活の心配さえさせねければある程度は善人になりやすいといってもよい。とにかく、医者は結構愛すべき中間層を形成してきたと言える。

 

それも今は昔の話になりつつあるが、そういうことを抜きにしても言わねばならないのは、医者とは防大生とならんで世間知らずの井の中の蛙ということだ。

 

高校を出てから特殊な業界に浸りっぱなしの人種など、芸能やスポーツなどを除けばこの二者くらいしかいない。

 

彼等は何かわかったつもりかもしれないが、いや、人以上にわかっていることももちろんなくはないのだが、いかんせん、世間を一つの眼鏡を通して経験しすぎている。悪く言えば、世間知らずである。

 

それが我が世の春とばかりに政界に進出する気配を見せている。

 

今更馬鹿みたいだが、政治家ほど総合知を要求される職はない。

今の政治家に総合知などというと、なかなか都合が悪いが、専門知を旗印にこれにとって代わる動きには否と言わねばなるまい。

 

こういう動きは大変危険である。

ひとつの事を良く知っている者は、多くの事について凡人以上に無知であるということ、そういう当たり前の常識を国民が獲得してもらわねば、この国の破滅は速まるばかりである。