7月に出した本の中で引いたものに、延安捕虜日記というものがありますが、これの著者は東京帝大を出て当時大陸で公職にあった鈴木伝三郎という人です。
この人は家族で鉄路を移動中に八路軍に襲われ、妻子をそこで亡くすことになりました。
私自身は当然、この鈴木氏とは縁もゆかりも無いわけですが、このほど父の知己である昭和10年生まれ(山西省)の医師から便りがあり、そこには、鈴木氏とは父親同士が居留民団の同僚、また母親たちは国防婦人会の付き合いがあったことから家族ぐるみの仲であり、鈴木一家殉難の際は皆悲嘆に暮れたのをよく覚えているとあります。
なんとも奇遇なもので、先方も鈴木氏の名前が本に見えて驚き、また不思議な人のつながりというものを喜んだそうですが、私の方もなかなか、そういうこともあるものかと驚きました。
こういうことはニューギニア方面に関してもあったのですけれども、やはり今に生きる日本人とて、あの時代、そして戦争に直接つながっているのだという思いを新たにします。