小幡敏の日記

評論を書いております。ご連絡はobata.tr6★gmail.comまで。(☆を@に))

投票義務化の愚

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6366624

 

政界のおしりたんていが何か言っている。

 

彼が言うことは話半分どころか一分ぐらいに聞いておけばいいので特に問題はないものの、憂慮すべきは掲示板というかコメント欄の『国民の半数以上が投票にいかないのでは民主主義とはいえない、あるべき民主主義の姿に近付けるため賛成』といった類の意見である。

 

こんなもの一部と思いきや、大勢なのである。国民はバカもこじらせてもはや正気とも思えん。

 

別段込み入った話をする必要もなかろう。

投票にもいかない連中(彼ら賢明なる国民諸君はつい先日の都知事選において『投票にもいかない無責任で怠惰なやつらは今後都政に口を差し挟むな』といっていたことをよもやお忘れか)を何故無理矢理にでも政治に引き込む必要があるのだ。

そんなことをしてはただでさえ地を這う国民の政治見識の水準を更に下げるだけではないか(案外そうでないのかもしれないというほど国民の選択というのは無見識無節操をきわめている。これなら興味のない連中がサイコロ転がして投票したほうがよいくらいだ)。

 

それが『あるべき民主主義』の在り方とは呆れてものもいえない。この国の国民があらゆる義務に対して示すあの態度をみよ、そんなものが政治意識の向上につながるなどと思っているなら、それは白痴ということだから今後いっさい政治に口を差し挟まないでいただきたい。

 

このようにいうと対案をだせだの文句はだれでもいえるだの(おしりたんていにいわれてはかなわんが、代わりに国民先生がいってくれるはずだ)、議論の意味がわかっていない賢人諸君に非難されてしまうだろうが、私は常に言っているつもりだ。

 

この国に十全な民主主義は根付かない。そして、国民はもはやそれを無意識に自覚し、『依らしむべくして知らしむべからず』式統治をどこかで求めているではないか。

 

今はまだ形式的なお題目としての民主主義がちやほやされているが、この壊滅的状況が社会の分断を進めた将来社会において、上記統治による糾合が始まらないと誰がいえるだろうか。

 

私は何もそうした統治を求めているわけでもない。むしろこの国で民主主義の後に火事場泥棒的に導入される斯様な統治は、民主主義と変わらないどころか、さらなる惨禍を招きかねないだろう。

 

だからこそ、私は言いたい。民主主義に対して継ぎ接ぎの対策、付け焼き刃の対応策は決してとってはならない。本義を明らかにし、その向上を目指せ。しかる後に、出来した民主主義の姿を正視せよ。それが出来ない民族に相応しい民主主義などあると思うな。

 

私一人はすでに結論はでている。あとはいまだに投票義務化などというお遊びに色気を出している国民諸君が決める番だ。