小幡敏の日記

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自衛官増員

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6368668

 

イージスアショアの問題は突き詰めれば自衛官の人材不足であることは明白であるから、海自の定員を増やそう(実際は充足の概念を取り払う程度だが)というのは至極真っ当な対応である。これについては評価したい。

 

とはいえ、釘を刺しておけば、さあ増やそうといっても自衛官は人気職ではないのである。特に海自は深刻で、私のいた地方では海自は名前さえかけば受かる状態であった。

 

こんな状況で、仮にコロナの就職難を頼りに人を募ってみたところで有為な人間がどれだけ集まるか、それはたかがしれている。

 

加えて、自衛隊は長引いた人材不足からまともな人事制度を備えておらず、特に論功行賞については極めて歪められている。また、何度か指摘したがその教育体制はもはやおざなりのごっこ遊びに堕落しており、いくらアホを加えたところで戦力化することも難しい。

 

よって、想像力を働かせればわかることだが、二千人の増員が仮に純増と呼べるものであったとしても、それが二千人分の戦力強化になるとは考えない方がよろしい。

 

残念なことに自衛隊というのはもはや組織として死に体であるから、この手の施策は実質的な防衛政策としては全て焼け石に水である。

 

結局のところ、迂遠なようであるが自衛隊の待遇改善、それも金銭的な補償などではなく、名誉の向上から手をつけるほかない。その上で現在の下らない自衛隊文化、すなわち偽物の軍人精神と兵隊文化とを打破し、健全な国家的理念の下に集う活力ある軍隊を生み、その実質を伴った魅力でもって国民を募るものとしない限り、決してまともな軍隊は生まれない。

 

こういうとやつらは理想ばかり言うなと冷やかす。だが、そんな彼らの事大主義と軟弱な志操とがこの劣悪な軍事環境を招いたのである。

 

軍隊とは国民の支持、国民の内に宿る国防への意志と国家への信頼なくして存立しえない。

 

この課題から逃げ、弥縫策にばかり縋ってきた保守派の木偶の坊たちではこの国は救えない。

 

二千人増員がイージス艦の増大に向けられ、それがミサイル防衛の切り札である、もしそんな幼稚な場当たり的発想にかまけるつもりであれば、我らが自衛隊は永久におもちゃの兵隊であり続けることだろう。

 

ゴロリ