小幡敏の日記

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プレイバック

先日同窓生の男と久方ぶりに会って話したが、この男、悪い男でもないが如何せんよくあるハイカラな脳構造になっているものだから出てくる意見というのがどうにもまずい。

 

彼は首都圏の県立高校を出て東大に入った人間であるから、思考様式というのが極めて田舎臭い意味での東大的なものであり、彼が今ベンチャー企業にいるというのも頷ける。

 

いったい、なにを、教わってきたの。

 

それでいうことといえば、大学教育は大部分の学生にとり不要でありむしろ無為であるから高校をでたら専門技能を活かして活躍できるような就職環境を作りたい、であるとか、医療にAI問診を入れて医者の負担を軽減し、その分有為な人間的医療を増したいとか、AI問診のデータベースを世界に輸出し、全世界の患者に適切でより質の高い医療を提供したいとか、そんな類の与太話が次々に出てくる。だから自分は日本人がどうとか日本がどうとかいうことには興味なんかないとくる。あいや、俺だって好きで日本がどうのこうのと言ってるわけじゃないんだぞ小僧。それはこの親の下に生まれたくては生まれてきたわけじゃなくたって親の幸せを願って骨を折るようなもんだ。親がいなけりゃさっぱりして気分がよろしいって?

随分気楽なことをいいなさる。

(もっとも、彼が他の同人種に比して善良さにかけても能力にかけても優等の部類に入ることは断っておく必要がある)

 

そうはいっても世の中これらの言説というのはむしろ歓迎されるのだからたちがわるい。

 

私が言えるのはそれらの施策は全てまさしく人間を知らぬが故にガキ臭いとしか言いようのない愚策なのであり、ほらみたことか、という結末が見え透いている。

 

彼らや彼らの追従者は、ではどうしたらいいのか、変えねば変わらぬ、などといった平成構造改革の再現をしてくれるだろうが、そんなことが実現できるならば、我々は機械労働力の活用によって週休5日制くらいは実現していてもよいではないか。

 

無駄を省けば効率アップとなり、人は幸福になる、そんなたわごとが成り立つのは貴様の職場だけだ、ということがわからぬとは、なんたる無見識であるか。

 

わたしだって、わたしだって、疲れるわ。

 

もう好きにすればよい。彼は実力行使に訴えるから、高校を出たばかりのエンジニアを会社で使っているらしい。やあやあ、それじゃあこれからすぐに問題が出てくるだろうなといえば、案の定だ、あまり威勢はよくないようだ。

 

そういうことだ。産みの苦しみなどと言い逃れはさせぬぞ。分かりきった破滅の道を選びたがる愚か者たちが数をたのみに何を言う。

 

警鐘を鳴らし続けているものは常にいるのだ。それに一瞥もくれぬ日本人たちを、愛想を尽かして見捨てる一群の人たち、私はそのどちらも愛することはできない。