小幡敏の日記

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国を支える者がない

国はめいめいが職分を果たしていれば自然とうまく運ばれてゆくというものではありますまい。

 

ここに百人の村があるとする。

99人までは自分のことに熱心になっていてもよい。いや、それすらも過半も占めれば足りるのであって、5人の浮浪者や20人のただ乗り、30人の乳飲み子と老人を抱えてもなお、1人の献身的なる領導者さえいれば、その村は結構やっていけることでしょう。

 

しかしながら、日本にその1人が居るのか。

 

私の中高の同級生に、極めて優秀なる者がありました。理数系の才覚に関しては、日本でも指折りだったでしょう。その彼が、研究を手離して外資系のコンサルティング会社に転職したといいます。

 

いや、そんな話は珍しくもない。東大法学部といえば、本来国を支える人材を輩出する機関でしたが、今や官僚を目指すものなど少なく、落ちこぼれのような連中が役所に入っていく有り様です。

 

その他、日銀に行ったものや名だたる企業に入ったもの、裁判官、研究者、なんでもよろしいが、そのうちに些少なりとも国を思い、それに力を尽くすものなど、私は一人も名を挙げることが出来ません。

 

これではいけないことくらい、子どもでもわかりそうなものですが、私とて今ではつとめ人ですから、あまり大きな口は叩けない。

 

しかしながら、この国の行く末を思うとき、どうしようもなく暗い気持ちになる。あの軽薄で低俗な野心家たちによって国の中枢が完全に占められたとき、どれだけ恐ろしい事態となるのか。いや、もうすでに半身以上は蝕まれているのかもしれません。

 

いずれにせよ、妙な期待を持たないほうがよろしいかと思います。