小幡敏の日記

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日本人の真面目さとはこんなものだ

今月号のクライテリオンで僕は、『戦争は人間を真面目にする』と書いた。

 

大型連休のあたりに執筆していたものだが、少なくともその頃はまだ、日本人も真面目な顔を取り繕ってはいたのを覚えているだろうか。僕はそれが極めて心許ないものだと思って見ていたが、案の定今はどうか。

 

ウクライナのことなど出来れば見たくないし考えたくない、或いは、ウクライナにも問題がある、何でもよろしいが、とにかく、我が身に引きつけて考えようという気運は急速に萎んではいないか。僕は開戦当初、『これで日本人も目が覚めるかね』と言う人に対しては、『いや、三カ月で飽きるね』と答えていたが、概ねその通りになったではないか。

 

先週末新宿に出向いたが、南口でウクライナ人(おそらく)や支援者が募金活動をしていた。

 

街は人でごった返していたが、立ち止まるものはゼロだ。すぐとなりで下手な無名バンドが演奏していたが、それにはいくらか人がついている。

ガードの方では福島みずほが『女は家制度に捕らわれて戦争支援に利用された』という、もう痴呆としか思えない演説をしていたが、そんな狂言にさえ百人程の聴衆があった。

 

要するに、日本人の真面目さなどこの程度だということだ。

戦争は人を真面目にする、そのことに変わりはないが、地球の反対側で起きた白人同士の殺し合いに、80年に及ぶ日本人の惰眠を覚ますほどの力はない。

 

そして日本人は次の戦争まで眠り続けようと寝床の準備を始めたようである。