小幡敏の日記

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勘弁してくれ(補)

本を出してから、時折読者からの手紙をもらいますが、いやはや、自分の言いたいことを言うだけで、読んでいるのかすら怪しい。そして、手紙だから言いっぱなしであることをいいことに、もういいたい放題でこっちも人間だから頭にきます。

 

そんなものは読まなきゃいいんですが、大体冒頭に『昭和何年生まれの防大何期で』と書かれて要るものですから、敬老心を捨てきってはいない以上、お付き合いしてしまうわけです。

 

ただ、その批判が痛いところをついてくるといった試しはまずなく、概ね次の2点です。それ以外はまぁ、揚げ足取りというか、これが気に食わんあれが気に食わん、これは俺の知っていることと違う、そんな類いなのでどうでもいい。

 

・お前は自衛隊に5年しかいないのに一体何がわかるのか。

・お前はかくかくしかじかの点に言及がない、勉強不足だし木を見て森を見ず、言うなれば若気の至りだ。

 

1点目については別に事実ですから構わないですが、一つ言えるのは、僕は5年しかいなかったけどそれで分かることしか言っていないつもりだし、僕はそれ以上いたところで有意義なものは得られないと思ったから辞めたわけです。もし、長く居なければわからず、そしてその上で言わねばならないことがあるというなら、是非教えて欲しいし、むしろ自ら発信してくれればいいんですが、あいにくそういうところは完全にお留守で、ただお前は何も知らないんだと、こうくる。

 

仕方がないので意地悪を言いますが、では、シベリア抑留を2年で解放された人は十一年居た人間の気持ちも体験もわからないのだからそういうものの言う事は独りよがりに過ぎないんだと、こうなるわけですか。大東亜戦争だって四年ですよ、参加戦域だって違う、兵種だって違う、だれも戦争を語るなと、こうなるわけですか、そこまでいうなら僕もわかります。

 

2点目、これも随分お粗末で、この前手紙ではついに僕はWGIPなどきいたこともない東京裁判史観の申し子ということにされちまったわけですが、そら僕は右翼少年でしたからWGIPなど小学生の時から馴染みでしたよ。東京裁判史観がどうのということになると、もうなにがなんやら。どこからそんな話になったのか、みている現実がこうまで違うと、僕には何も何も、わかりませんです。

 

今まで便りをくれた人にはそれがどんなものであれ全て目を通して返事をしていたんですが、もう止めます、勘弁してください。地獄で会ってもその話はまた今度にしてください。たぶん地獄でも色々やることがあって大変だと思うので、ちょいと構いきれませんです。(地獄でも絡まれそうなのが嫌でこれまで対応していたんですがね)

 

自衛官に失礼だ!、というなら、僕に『よく言ってくれた』と言う自衛官はいったいなんなのか、そこんところくらいは整理してから来てもらいたい。言っておきますが、防大出で定年まで勤め上げたような人だっているんですよ、その中には。

 

※ちなみに、かみさんから『これこの前の手紙のお爺さんじゃない?』と言われて気づきましたが、夏頃A4十三枚で長々しく上記のような文句を送ってきた八十近い爺さんは、腹の虫が収まらなかったのかAmazonデビューして文面の一部そのままにレビューデビューしたようです。

老体に残ったその執念、是非もっと前向きにお使いください。僕は申し訳ないが、戦後老人のやり残し正義感は遠慮します。