小幡敏の日記

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戦記紹介2

沖縄については、色々言われます。

確かに現在の沖縄県庁、主要県メディア、表に出てくる市民活動家をながむるに、これは一体何なのだと、言いたくなる気持ちはよくわかる。

 

私自身四年あまり沖縄に自衛官として住んでおりましたから、人並み以上に事情は理解しているつもりです。

 

しかしながら、ヤマトの人が沖縄の人を少しでも馬鹿にするなら、それは違うと思うわけです。

 

たしかに、私も今の沖縄の声というのが多分に無責任の調子を帯びているのはわかる。

 

ですが、沖縄の戦いというのは、それは凄惨なものだった。実質的に唯一といっていい国内戦があった土地なのです。それも、あのアメリカを相手にした絶望的な戦いを、逃げ惑う住民として、時に応召兵として、また看護婦として、戦争をまともに引き受けたのはまさしく沖縄の人間であったことを、ヤマトの人間たる我々は理解せねばならない。

 

私は沖縄の人がいかに荒唐無稽なことを言おうが、それを嘲り、批難する気にはなれないのです。

 

沖縄戦記というのは玉石混交、あらゆる立場にあった人が本当にあらゆる立場から様々に記録していますが、少し有名なところでいうと、映画人だった小木曽郁男によって書かれた『ああ沖縄』をお勧めします。

 

これは実際の書き手が小木曽本人でない故、戦記特有の肉薄感において一面欠けるところがあるものの、衛生兵という立場からみた沖縄戦の悲惨、勇敢、そして無慈悲の中になお残る人間の光が、かなり公平に描かれているものと思います。

 

沖縄問題を語るのであれば、是非ともこういうものを通過した上で議論してもらいたい。

 

戦の果てに何があるのか、そういうものがきっと見えてくるはずです。