小幡敏の日記

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死人が出ていたようだ

以前、マスクを原因に熱中症で死ぬ者が出なければ日本人はこの興奮から醒めないと述べたが、その犠牲者が出た。それも自衛官から。

 

これはかつての同僚から聞いて知ったが、6月上旬、首都部隊の曹長がマスクを着用(途中からはアゴにかけた)した行軍中に倒れ、その後死亡したということである。

 

これをどう解すべきか。一般人はどう思うか知らないが、行軍というものは一般部隊が実施する全ての訓練の中で最も辛いものである。これがあるから訓練は嫌だというものも少なくない。これを夏場にマスクをしてやることなど正気の沙汰ではないことは経験者なら誰でもわかる。それが夜間の20km、荷物は10kgという比較的軽度のものであったにせよ、周りが体調の変化に気づきにくい環境での行軍であればなおさらその危険性には注意して然るべきである。

 

もちろん、私はそれが実際にはどの程度の強度のものか、或いは何の目的のためになされたかは知らない。しかしながら、聞くところによればこの着用は必ずしも強制ではなく、危険を感じたら自ら外してもかまわなかったようである。

 

だが、一般人以上に同調圧力が強く、また部下への体面もあり、更に真面目な人間の多い自衛隊でこのようなことをすればどういう結果を生むか、それくらい誰にでもわかりそうなものだ。

 

そして、更に問題といえるのは、これは全くの推測に過ぎないものの、このマスク着用令なるものがあったとすれば、それは単なる見せ掛けの対策実績をつくるためだけに下されたものであり、それは直接には上級者上級部隊に向けられたイロケであるものの、最終的には国民に対するイロケであるということである。

 

これは単なる推測とはいえ、自衛隊に居たものであれば誰しもさもありなんと首肯するだろう。自衛隊とはそういう組織であり、国民とはそれを強いる存在である。

 

哀れなのは殉職者だ。マスクに殺された彼は、この国の奇形性に殺されたのである。これを捨て置くことが如何に危険であるか、よくよく考えて頂きたい。