クライテリオンのメールマガジンに86歳の方から寄せられた文が載っておりました。
自衛戦争に備えよ、ということで、内容については大きな点において反対するところはありません。むしろ、米寿を控え、日本の安全保障環是正を願って筆を執るその熱意には頭が下がるくらい。
論考自体も奇を衒ったものではなく、誠実な印象を受けます。
ただ、これをお読み頂けばわかることですが、内容は常識的です。常識的というのは『そんなものは常識だ』という意味ではありません。いうなれば、86歳という特権的な地位、経験がそこには含まれていないということです。
老人の昔語りというのは嫌われますが、こと軍事に関して、日本である程度以上の主体性、当事者性を再現しながら語れるのは、この世代(それもだいぶん厳しいですが)より上にしかおりません。そして、残念ながら残された時間は有限です。
それを思えば、戦争を直接ないし身近に感じ、本物の軍人、元軍人を近くに記憶の中に持った世代には、是非ともの積極的にその思い出を語って欲しいと思います。
周りの連中はそんなことには耳を貸さなかったのかもしれませんが、私は出向いていってでも聞きたいくらいです。
是非そこのところに触れた論考が現れて欲しいと思います。